1,000万円の時計を薪ストーブにくべる!?

 朝起きると宿主が「昨夜俺は大変なことをしてしまった」と、しょんぼりして言うのです。「もう寝ようと思って、はずしてテーブルに置いてあった腕時計と、紙くずを持って立ち上がったんだ…」そこまでで、だいたい何があったのか分かりました。宿主はいつも寝る前に、薪ストーブに薪を入れて火止めをするのですが、そのときついでに燃える紙くず類も放り込むのです。

 「放り込んだとたん、コトッって音がして気がついたんだ。俺、紙くずと一緒に時計も薪ストーブの中にくべてしまった!」朝、薪ストーブに火を入れるとき、灰を全部かきだして、時計の残骸を探しましたが、まったく見つかりませんでした。きれいさっぱり、溶けてなくなっていたのです。

 さあその話を連泊していたお客さんに話したとき、薪ストーブの中にくべた時計は、1,000万円の時計になっていました。「ダイヤをちりばめた1,000万円の超高級腕時計だったのに!」と騒ぐ宿主。しかし昨日、一日中宿主と話をしていたお客さんは落ち着き払って言いました。「ダイヤモンドなら、薪ストーブぐらいの熱なら溶けませんよ、プラチナでも大丈夫です。でも、1,980円ぐらいの時計なら、跡形もなく溶けてしまっているかもしれないなあ!」そう、見事にお客さんに宿主の時計の値段を当てられてしまいました。

 その後、薪ストーブの中で消滅した時計は、お客さんとの話題の中で2,000万円にまで値が上がっていました。お客さんが出発されて、自分たちだけになった後、薪ストーブの熾き火かき混ぜる宿主に、私は「どっかにダイヤモンドが引っかかってない?」と尋ねるのでした…。

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2010年1月22日 | テーマ:薪ストーブ | コメント(2) |



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