天使が悪魔に変わる時
今朝には決着がつくと思っておりましたが、ヤツは家の中に入ってきた形跡がなく、勝負は延長戦となりました。そうなんです。残念な出来事とはテンが家の中に入ってきてゴミ箱を荒らしたんです。まさかこんなことになるとは。
二日前、久しぶりにお客さんがいなくなって、晩御飯が終わってのんびりテレビを見ていたら、台所から突然何かが倒れた音、そっと覗いてみると、なんと、テンがいたのです。テンは冷凍庫の裏に隠れ、宿主は「殺す寸前ぐらいの痛い目に合わせないとだめだ!」と言って、「逃げ出さないように段ボール箱で抑えとけ!」と私に言って長い棒を取りに行きました。私が段ボールで隙間をふさいでいると、テンが低く威嚇のうなり声をあげていました。
宿主が棒で渾身の力を込めてたたいて、私は泣きそうな思い、テンは宿主の隙をついて飛び出し、ボイラーの配管を垂直に登っていつの間にか空けた配管周りの小さな天井穴に入っていきました。すぐには入りきれないので、その間、宿主は思いっきり棒でたたいていましたが、テンは屋根裏に上がって逃げていきました。「もうこれに懲りて、入ってこなければいいけどなあ。もう鮭のアラとかやるのはやめる」と宿主が言いました。そして穴をとりあえずガムテープでふさぎました。どこから屋根裏に入ってくるのか、分かりません。
しかし、朝起きてみると、穴がさらに大きく空いて、ゴミ箱からごみが散乱して、前日以上の荒らされ方になっていました。どうやら野菜類は興味がないらしく、チーズパーティで食べたチーズの残骸がついた包装をあさっていたようでした。
ここら辺はアライグマの被害が多くて、役場から罠の貸し出しがあり、捕獲したら役場に持っていけばいいと聞いていたので、役場に電話してみると、テンも同じようにしてくれるとのこと、さっそく宿主は罠を借りに行き、昨晩設置してみたのですが、昨夜は家の中に入ってきた形跡はなく捕獲はできませんでした。
今まではのんた君がいて、野生動物には盛大に吠えていましたし、だから家の中には入ってこなかったんでしょう。もともと、野鳥やリスの餌付けはしたくないと言っていた宿主なのに、なんでテンにアラをやる気になったのか、やはりのんた君がいなくなって、どうしようもなく淋しかった気持ちがこんな結果を招いたのかもしれません。だから野生動物にむやみに餌付けなんかしないほうがいいんだよ、というのは正論でしょうけど、私以上にテンの姿に夢中になっていた宿主の気持ちを思うとなんとも切ないです。
家の中にさえ入ってこなければ、いい関係でいたのに、と思うのは人間の勝手な言い分、テンにもかわいそうなことをしました。あれだけかわいかったのに悪魔の顔に見えるようになった、と言った宿主。もう二度と野生動物にエサをあげたりしないと思います。罠はしばらく置いたままにしておきます。
**追記**
ブログは今まで書いた内容の続きで書いているので、今までこのブログを読んだことがない人がこの記事だけを読むと誤解されるかもしれませんし、説明不足の面もあるかもしれないので、追記しておきます。
まずは、テンは捕獲しても殺処分になりません。役場に持っていくと、役場の人が山野に放してくれます。たとえ罠だけ借りてあとは自分たちでどうにか処分しろと言われたら、天塩ぐらいで放せばいいか、オホーツク海側まで連れて行った方がいいのか二人で相談していました。役場で放してくれると聞いたので、役場に任せようと思っています。
テンは昔から宿の周辺に来ていました。なのでわざわざエサをやっておびき寄せたわけではありません。今までラブラドールレトリバーを飼っていたので建物近くには寄ってきませんでした。しかしラブが急に死んでしまって、食べていたものを不用意に野生動物にやろうと思ってしまったのがきっかけです。
家族同様にかわいがっていたラブが死んでしまって気落ちしていた我々にとって、愛らしいテンは暗闇の中でともった小さな灯りのようなものでした。まさか穴をあけて家の中に入ってくるとは思いもよらないことでした。
テンをたたくという行為が残酷だと思われると思いますが、家の中にさえ入ってこなければ、共存できると思っていました。一度怖い思いをしてそれで家の中に入ってこなくなれば、それが一番良いと思いました。しかし効果はありませんでした。たたくという行為はつらいことであり、自分たちがエサを置いてしまったばかりにこうなったんだなあと後悔しました。
外から入ってくる穴をふさごうと、テンの足跡をたどってみましたが、どこから入ってくるのか分かりません。雪もありますし、小さな穴からでも入ってくるというので、雪が溶けないと分からないかもしれません。天井部分の穴だけ塞いでも、外の穴をふさがなかったら効果がないでしょうから、今回は捕獲することにしました。
ラブがいなくなったので、野生動物が家の中に侵入してくるのは、遅かれ早かれ起こったかもしれません。しかしそれを早めてしまったのは自分たちの行為のせいだろうと思います。淋しい気持ちを埋めるために人間が自分勝手なことをして苦い結末になって、後悔していることをこのブログで書きたかったですし、書いたつもりでした。
そしてこういう結末になったことをきちんと報告することで、同じような状況になった人が、自分たちと同じ間違いを起こさないようにしてもらえればなあと願います。
**追記の追記**
テンを捕獲して放しに行った顛末は「思わぬ展開により…」に書いてあります。
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コメント
コメント
テンものん太君の気配がなくなって、建屋に近付きやすくなったようですね。人に対しては吠えることもなく、誰にもでれでれ寄っていって、ベロベロなめまわしていたので、人に対する番犬役は無理そうかなと思っていましたが、野生動物に対しては目を光らせていたんですね。流石は営業部長と言うところでしょうか。
ネズミ除けに猫、実はテン除けのノンタ君だったんですね。
嫁の実家のゴミ箱をアライグマが荒らすと義母さんが嘆いていましたが、北で言えば『エゾ鹿』や『タンチョウヅル』など、自然の豊かさや愛おしさを感じますが、あるところでは『害獣・害鳥』
内地人が入植前にはアイヌ民族と共存していたのかどうかはわかりませんか、侵略したのは自分たち移住した人たちなのですから色々考えさせられますね。
冬のえさの少ない時期なので仕方ありませんね。それが、私たちにとって自然の魅力的なのですから。徹底的に穴を塞ぎ野生との共存を希望します。叩いた位では効果はありませんので。
>亀吉さん
番犬にならないと笑われていたのんた君が、立派に番犬の役目を果たしていたと今になって気がつくなんてね。ちょっとのんた君、かっこよすぎ!
>キサブローさん
今まではのんた君がいたので、野生動物と付き合うなんて思ってもいませんでした。今回のことは、本当に考えさせられましたし、勉強になりました。
>えびさん
穴を塞ぐことを考えたのですが、3年前に屋根や壁のメンテナンスをしたときに穴は全部塞いでいて、新たにどこがあいているのか、雪がこれだけ積もった状態では分かりません。春になって雪が溶けたら見つけたいです。
捕獲をして役場に持っていっても、殺処分にはならず山野に放たれます。まさか家の中に入ってくるとは思いもよらなかったけど、今回の責任は自分たちにあると思うので、殺すことはせず、共存したいです。